LD、ADHD、高機能自閉症等のある子ども達に対するサポートツール検索サイト

ユニバーサルデザイン

通常の学級の中で工夫してもらった「クラスの(多くの)皆にも使いやすい・学びやすい」ユニバーサルデザインの具体例を全国LD親の会の各会に聞いてみました。
 通常の学級で工夫してもらった取り組み


サポートツール・データベース事業の目的は、発達障害のある子どもが、将来、自分に合ったサポートツールを使用して仕事し、生活していける力をつけていくことにあります。そのためには、子ども自身が自分のことを知り、自分に合った学習方法を手に入れて、自ら学んでいく力をつけていくことが必要です。
私たち保護者は、子どもたちが発達障害という自分の特徴をうまくサポートしてくれるツールを見つけて、社会生活を送っていってほしいと願っています。

そこで、社会で働いている発達障害のある青年たちに、愛用しているサポートツールについて訊ねてみました。子どものころに教えてもらった方法が気に入って同じような使い方ができる製品を選んでいる場合もあれば、働くようになって自分で使い方を工夫し場合もあるようです。
 発達障害者本人が愛用しているサポートツール例


1.サポートツールデータベース事業とユニバーサルデザイン
2.共生社会の基礎的環境整備としてのユニバーサルデザイン
3.ユニバーサルデザイン化に必要な視点 ~一人ひとりのニーズの把握と対応方法~


1.サポートツール・データベース事業とユニバーサルデザイン

   サポートツール・データベース事業は、2006年4月から文部科学省委嘱事業「発達障害児向けの教材・教具実証研究」として始まりました。2006年度・2007年度の2年間で、サポートツールを収集・開発やツールの実証などをおこないました。2年間で集めたサポートツールを体系的に整理し、2008年3月にデータベースとしてWeb公開しましが、その過程で、「良い教材があるのではなく、使い方次第で良い教材になる」ということを再確認しました。
   そこで、2009年度から3年間、日本財団の助成を受けて「発達障害児のための教材・教具データベースの構築と普及事業」として、教材・教具、実証データの公募や教材・教具開発によるデータベースの充実を図るとともに、日本各地で「発達障害がある子ども一人ひとりのニーズに応じた指導・支援の具体的方法」という研修会を開催し、教材・教具の具体的な使い方についての理解・啓発活動をおこなってきました。3年間の事業を通じ、「教材・教具は環境に応じて多様な使い方が可能であり、それは教材・教具のソフト部分のユニバーサルデザイン化といえる」と同時に、「ユニバーサルデザイン化された教材・教具は、障害の有無にかかわらず、使用場面にかかわらず、抵抗感なく使うことができ、より有効なツールになる」という点が見えてきました。
   2012年度からの事業課題として日本財団助成を受け、「発達障害児のためのサポートツールの個別の使い方とユニバーサルデザイン化」事業に取り組んでいるところです。

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2.共生社会の基礎的環境整備としてのユニバーサルデザイン

(1)障害者の権利に関する条約
   2006年12月13日、第61回国連総会において、国際人権法に基付く「障害者の権利に関する条約」が採択されました。日本政府は、この条約に2007年12月13日署名し、批准に向けて国内法を整備しているところです。
   「障害者の権利に関する条約」第二条で、ユニバーサルデザインは「調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲ですべての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計」と定義されています。
   また、教育について記載されている第二十四条の2(c)の合理的配慮についても「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。」と定義されています。

障害者の権利に関する条約  和文テキスト(外務省仮訳文)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/shomei_32b.html
第二条 定義
この条約の適用上、
「意思疎通」とは、・・(略)・・
「言語」とは、・・(略)・・
「障害を理由とする差別」とは、・・(略)・・
「合理的配慮」とは、障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。
「ユニバーサルデザイン」とは、調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲ですべての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計をいう。ユニバーサルデザインは、特定の障害者の集団のための支援装置が必要な場合には、これを排除するものではない。

(2)特別支援教育の推進について(通知)
   文部科学省の2007年4月1日付け「特別支援教育の推進について(通知)」の中では、「特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒への教育にとどまらず、障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるものであり、我が国の現在及び将来の社会にとって重要な意味を持っている。」と記載されています。

特別支援教育の推進について(通知)
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/07050101.htm
1、特別支援教育の理念
   特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものである。
   また、特別支援教育は、これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく、知的な遅れのない発達障害も含めて、特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍する全ての学校において実施されるものである。
   さらに、特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒への教育にとどまらず、障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるものであり、我が国の現在及び将来の社会にとって重要な意味を持っている。

(3)障害者基本法の一部を改正する法律
   また、2011年7月に障害者基本法改正案が可決され、8月5日には障害者基本法の一部を改正する法律が公布、一部を除き施行されました。第16条には、「年齢、能力に応じ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるよう、障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策」を講じると書かれています。

障害者基本法の一部を改正する法律(平成二十三年法律第九十号)
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kihonhou/houritsuan.html


(4)共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)
   この流れの中で、中教審のなかに特別委員会が設置され、2012年7月23日、文部科学省の「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」では、インクルーシブ教育システムにおいては、同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある児童生徒に対して、その時点で教育的ニーズに最も的確にこたえる指導を提供できる多様で柔軟な仕組みを整備することが重要とされています。

「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/houkoku/1321667.htm
(2)「基礎的環境整備」について
○「合理的配慮」の充実を図る上で、「基礎的環境整備」の充実は欠かせない。そのため、必要な財源を確保し、国、都道府県、市町村は、インクルーシブ教育システムの構築に向けた取組として、「基礎的環境整備」の充実を図っていく必要がある。その際、特別支援学校の「基礎的環境整備」の維持・向上を図りつつ、特別支援学校以外の学校の「基礎的環境整備」の向上を図ることが重要である。また、「基礎的環境整備」を進めるに当たっては、ユニバーサルデザイン(*5)の考え方も考慮しつつ進めていくことが重要である。(参考資料22:基礎的環境整備について)

(*5)バリアフリーは、障害によりもたらされるバリア(障壁)に対処するとの考え方であるのに対し、ユニバーサルデザインはあらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方。障害者の権利に関する条約第2条(定義)において、「ユニバーサルデザイン」とは、調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲ですべての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計をいう。ユニバーサルデザインは、特定の障害者の集団のための支援装置が必要な場合には、これを排除するものではない、と定義されている。

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3.ユニバーサルデザイン化に必要な視点 ~一人ひとりのニーズの把握と対応方法~

   「共生社会」とは、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会であり、その形成に向けたインクルーシブ教育システム構築が求められていますが、教育現場でそれを具体化させるためのユニバーサルデザイン化には、一人一人のニーズを把握する視点が不可欠です。
   「ユニバーサルデザイン」は、「すべての人が使用しうる設計」であることから、「ユニバーサルデザイン化」する方法論としては、「すべての人が使用できるツールのみ用いる」すなわち「ツールの限定」に陥りがちです。ユニバーサルデザイン化には、一人ひとりのニーズをしっかり把握し、ニーズに対応した方法をダイナミックにとらえ、落とし込んでいくパーソナルへの視点が必要なのです。
   また、子ども一人一人の学習権を保障する観点から、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある「多様な学びの場」を用意しておくことが必要であり、サポートツールの個別対応の使い方をいかにユニバーサルデザイン化し、インクルーシブ教育に生かしていくかが今後の大きな課題といえます。
   サポートツール・データベース事業では、連続性のある「多様な学びの場」において、どのようなツールをどのように使うことが「ユニバーサル」なのか、検討していく予定です。

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